拉致被害者の蓮池薫さんの著作がノンフィクション部門の賞を受けたと知りました。 「半島へ、ふたたび」のタイトルで、蓮池さんがご自分の「自由意志」で 朝鮮半島に旅立った手記です。はじめの旅は、「自由意志」ではなく、強制でした。 私たちの日常では、ぴんとこないのが「自由意志」です。 そこには、人間が人間である根源があるように思います。 しかし、それを当たり前のものとして、享受していることにも気づかない。 北に拘束された特異な体験が、図らずも、この「自由意志」への気づきと感謝を生んだのでしょう。 蓮池さんは文筆家の道を歩み始めました。 北で覚えたハングルを捨てるのではなく、それを生かして、翻訳を手がけました。 今回の著作も、救出を待っている仲間たちへの応援歌でもあります。 その特異な体験は、真実を気づかせ、生きるべき道をさえ開いてくれる。 私たちも、つらいことを体験したならば、不満や愚痴で終わってはなりません。 あきらめずに希望を持ち続ければ、きっとそこに真実なものが見えてくるでしょう。
2009年09月03日