わが故郷の書家であった大澤華空(かくう)さんの創設した会の 展示会が豊橋美術館でありました。 そこで、「ごんぎつね」で有名な新美南吉さんの 無題「大人が」という詩にめぐりあいました。 ~大人が子供にいつた、「この美しい本をあげよう」と 子供は喜んで訊ねた「いつくれるの」大人「来年になつたら」 子供は早く来年になればいいなと思つた しかし次の日大人がいつた 「もうこの本をあげないよ」子供はそつと唇をかんだ そしてとほくの雲を見ていた 大人はちよつとすまなく思つた しかし大人は考へた 「何も文句はない筈だ 何一つ損したわけぢやないのだから」 なるほど子供に文句はなかつた だが子供は何も損しなかつたらうか 人の言葉を信じるといふ 尊い心を少うしばかり 子供は失ひはしなかつたらうか~ メモもとらず、その場を去ったので、その詩が日増しに気になります。 ネットでも検索できません。新美さんの市販の詩集にも掲載がありません。 求めなさい。そうすれば、与えられます。ようやく、図書館で再会を果たしました。
2009年07月03日