安全性編 6 メイラード反応
焼いたり、炒めたり、揚げたりの調理は、100度以上の温度で調理をします。 この時、タンパク質と糖が共存するものを加熱することで、メイラード反応が引き起こされます。 その時の温度帯が160~180度となります。 この呼称は、フランスの科学者メイラード(Louis Camille Maillard)によりますが、 褐色になるので、褐色反応とも呼ばれます。
調理面では、こんがりとキツネ色の焼き色がついて、美味しい香りが形成されるのです。 しかも、その反応によって形成されるメラノイジンは、抗酸化物質でもあり、体にも良い側面もあるのです。

また、メイラード反応は、加熱だけではなく熟成することでも引き起こされます。 代表的なものが味噌や醤油で、褐色の色合いは、メイラード反応によるもの。 このようにメイラード反応は、室温でもゆっくりと反応して、生体内で生じることが分かって来ました。 こちらは、糖尿病合併症や老化の原因の一つと考えられるようなもので、この時は、 この反応の最終産物をAGEと呼んでいます。メイラード反応だから、体に良いというものではありません。
また、安全性の問題で引き合いに出されるのが、アクリルアミドという物質です。 焼いたり、炒めたり、揚げたりする調理の中でも、すなわち、メイラード反応を通じて、 微量のアクリルアミドも生成されることが分かりました。 しかし、あくまで、物質はどれも毒となる可能性があり、それぞれに体に有害となる量があるので、 その量を目安に摂取する必要があります。
例えば、塩でも、量が多ければ有害となります。 その摂取量で、リスクを判断していくことが肝要です。 なお、ゼロリスクを求めてしまえば、焼いたり、炒めたり、揚げたりの調理ができなくなります。 その結果、有害な細菌を殺傷できず食中毒を招いたり、美味しく食べる楽しみもなくなってしまいます。
そこで、国の食品安全委員会での結論は右となります。 「アクリルアミドが高温で加熱した食品に含まれていることが判ったあとも、各国の公的機 関で、特に今までの食生活を変えるように指導しているところはありません。油で揚げるな ど、従来から行われてきた高温加熱の料理方法でもアクリルアミドを食品とともに摂ってき たと考えられますので、これまでの食生活をただちに見直す必要はないでしょう。」
本質なところで食品安全委員会では、偏らずバランスよく食べることをまずは奨励しています。 その上で、調理の上で焦げ過ぎないように、焼き目を付け過ぎないように推奨しています。 それは、もはや炭と化す黒焦げが一番よくないとも言えます。 そんな料理は美味しくないので、体も受けつけないでしょう。
ところが、今日は、手早く料理をする傾向にあり、ついつい強火を使ってしまう方が多いようです。 ですから、アクリルアミドが生じやすい黒焦げとならないように火加減に気を付けることでもあります。 偏らずバランスよく食べる。焦がし過ぎない。 これは、当たり前のことであり、改めて、この点で食生活を見直す機会を与えてくれているようです。
こちらの農林水産省の実験結果によると、 野菜も食パンも、黒焦げに近いところで、アクリルアミドが比較的多く生じることが分かります。 焦げ色の一番濃いサンプルは、本来の良い焦げとは言えないでしょう。 あくまで、そればかりを調理せず、適正に調理していれば、結果として美味しく食べることもできて、健康的です。
アクリルアミドだけに焦点をあてて、いわゆるゼロリスクを求めてしまえば、 焼いたり、炒めたり、揚げたりする調理はできなくなります。 すると、100度以下の茹でたり蒸したりだけの湿った仕上がりの調理に限定されることになるでしょう。 その結果、食材によってはお好みの美味しさはなくなり、食べるものが偏ってしまう可能性も大きいでしょう。
焼いたり、炒めたり、揚げたりの160~180度の加熱によって生まれる香りと色目、またカリッとした食感は、 美味しさに直結しています。これは、天からの贈り物でもあります。 しかし、それが黒焦げにならないように、さらに、同じものばかりを食べないように気を付ける必要はあります。 アクリルアミドの問題は、そんなことを示唆してくれているように思われます。 今一度、バランスよく食べて、焦がし過ぎないように注意してみて下さい。
【参考にして下さい】
メイラード反応と安全性をテーマにした「食品安全委員会の講座」
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