希望の牧場
NHKこころの時代~宗教・人生~「185頭と1人 生きる意味を探して 吉沢正巳」を視聴しました。吉沢さんは、福島県浪江町で被爆した牛たちを殺処分することなく、15年間育て続けて自らを牛飼いと呼んでいました。もはや稼げない牛を育てることに意味があるのか。いつしか、命の価値を経済的なもの、稼げることだけに置いてしまう。しかし、命とは、無条件で価値があるもの。その時、被爆牛の存在が、この世の価値観に抗い、語らずとも語っていました。それは、商人の心にも響きます。稼ぐことがすべてではない。稼ぎたくても、稼げない人もいる。また、人は老いれば、やがて稼ぐことはできなくなる。あるいは、病気になったり、事故に遭遇したりするかもしれない。一筋縄ではいかない世界で、さまざまな矛盾を抱えても、今自分にできることを精一杯行っている。それは「たとえ明日、世界が滅びようとも、私は今日リンゴの木を植える」マルティン・ルターの言葉と重なります。そこにある誠実な意志こそ、次代に継承されて行く。そんな牛飼いのつぶらな瞳に涙しました。そこは希望の牧場でした。
2026年03月16日